ヴィンテージ J-45の中でも別格とされる59年製。某大手ディーラーの特注品”J-45 The59″は、その59年のJ-45を極限まで再現したショップカスタムとして話題を呼びました。
当時ギブソンは「LEGEND」シリーズと銘打った1942製/J-45と1937製/L-00のリィシューモデルを製造していました。この2本はネック・プロファイルから何から何まで完全復刻と言うことで生産されていましたが、この完全復刻版のビンテージリィーシュのクオリティーで伝説の1959年製J-45の完全復刻モデルを製作すべく、企画されたショップオーダーモデルです。
オリジナルビンテージの1959年製のJ-45の細部を採寸し、細かいディティールに拘り、カスタムショップのベテラン職人の手によって手工製作されています。ボディートップはスプルース、サイドバックはマホガニー、マホガニーネック、指板とブリッジはローズウッドの王道マテリアル。
復刻版でも人気が高い’59レスポールは特に”59ネック”という名前がつくくらいにネックの評価が高く、59年のJ-45も”59ネック”に感触が似ている事からその59ネックを完全に再現することにこだわり、実機から採寸した3DのCADデーターを元にしっかり肉厚のあるファットなネックグリップを再現。
現行品よりも2ミリ下がっているサウンドホールの位置はロゼッタリングが指板に隠れないようアレンジされています。50年代後期から60年代にかけて採用されていたアジャスタブルサドルの調整ネジの頭のサイズ、ジャンボフレットなど、実現可能な部分は徹底的にオリジナルにこだわって製作。ブレイシングは、より’59ヴィンテージに近い音になるというギブソン側の提案を飲んでオリジナルのノンスキャロップドに対してスキャロップドが採用されており、現行のJ-45スタンダードや60年代のリィーシュなどと比べて音が太くふくよかでパンチがあり枯れ感のあるヴィンテージトーンを実現しています。
メーカーとディーラーの完全協力体勢から生まれた奇跡のレプリカモデル”The59″は、ギブソン側がディーラー担当者の交渉時の熱意と迫力からつけたニックネーム”Animal”が冠され、2013年に100本製作予定で販売されましたが、即完売となり中古市場でも大変希少なモデルとなっています。