60年代に登場した存在感の強いルックスが特徴的な”DOVE”は、ハミングバードと共に、Gibsonのスクエアショルダーを代表するモデル。
ハチドリをデザインしたピックガードが印象的な”Hummingbird”が登場した60年の後、その上位機種として62年よりラインナップされた”DOVE”は、ギブソンの高級機種らしくボディのサイド&バックにはメイプル材が採用され、エレキギターに採用されていたチューンOマチックのブリッジの搭載や、ハトがデザインされたピックガード等、目を惹くプロポーションの特徴的なスペックを持つモデルです。
本機は、シリアルより1969年頃に製造されたと思われるダヴ。ギブソン/アコースティック変革期に沿って、細かく仕様変更を繰り返した過渡期の個体。DOVEの特徴的なチューンOマチックのブリッジが木製のアジャスタブルブリッジ に変わった頃のスペックで、この後にはブリッジベース部の形状も変わって固定サドルとなりますので、その過渡期的なスペックとなっております。
“i”ドットなしのGibsonヘッドロゴ、スプルーストップにメイプルのサイド/バック、ダブルXブレーシング、ネックはボリュートなしの1ピースマホガニーで43mmのレギュラーグリップ、エボニー指板、シャーラーペグ(Gマークなし)等、過渡期らしく68〜70年ぐらいに掛けての仕様が入り混じったスペック。特にパーツ等が変更された形跡は見られませんでしたが、ペグや特殊な素材のアジャスタブルサドル等、フルオリジナルとの断言はできません。また、この時期はシリアル等での正確な年代判別が難しい時期で、ヘッド裏のシリアルも見え辛くなっており、仕様を総合的にみて1969年製と判断しておりますが若干のずれがある可能性はございます。
写真のようにトップの一部にクラックが見られ、ネックに近いPG上部のクラックは補修された痕がみられますが、ボディ下部のクラックは上層のみで、現状で割れが開いてきたりする心配はないかと思われ、演奏上の不具合も見られません。全体的な外観は年代なりの使用感や小傷、PG(ピックガード)の劣化等はそれなりにございますが、大きなダメージはなくワイルドで精悍なヴィンテージルックスです。
メイプルボディ特有の硬質でキレがあるサウンド、クリアーでキリッとした輪郭のある単音と、ストロークでも太く煌びやかな響きとのまとまりが良くバランスの良い鳴り。この年代の”ダヴ”ならではの骨太で枯れたヴィンテージトーンが魅力です。
また、この個体は”L.R.Baggs Anthem SL”が増設されており、ライブ等でも即戦力としてご使用頂けると思います。