KORG(=コルグ)が2004年に初代クリップチューナーAW-1を発表してから10年。
最近ではクリップチューナーが当たり前になってきて色々なメーカーが製品を輩出させており、選ぶ楽しさがあります。
しかし筆者はKORGのデジタルチューナーを初代DT-1から愛用しておりますので、お客様にもKORGをお勧めしています。
クリップチューナー業界において、KORGの対抗馬はいまのところBOSS(=ボス)一択です。
両社はこれまでチューナーを作り続けていた信頼もさることながら、
製品自体の性能が群を抜いています。 いずれも処理速度が圧倒的です。
楽器店などで比較できそうなら是非試して欲しいのですが、ギターのヘッドにKORGと他社のクリップチューナーを装着し、 弦をはじいてみます。たいがいKORGの方が早く反応します。
ストレスなく正確なチューニングを行うためには、この「早さ」は譲ってはいけないポイントです。
BOSSがクリップチューナーTU-10を投入するまでは、¥3,000圏内のクリップチューナーにおいて、
反応速度では永きにわたってKORG AW-2の一人勝ちでした。
このAW-2は名器と言ってもいいでしょう。チューナーとしての基本性能の高さ、シンプルな操作性、
二つの球体関節を用いてどの角度でも見やすくできる操作性、安価なので壊してもまた買えばいいというところまで、KORGの開発者はとてもいい仕事をしたと思います。反面、はめ込み式の球体関節が演奏中に外れてしまったり、収納する時に収まりが悪かったりといった弱点があったことも事実です。
昨年だったかと思いますが、BOSSが発表したクリップチューナーTU-10は、このKORG一人勝ちのクリップチューナー業界に鋭く切り込みました。
反応速度はAW-2よりも一瞬早く、剛性を高めるためにクリップとチューナーを一体型にし、カラー液晶を採用してカラフルに表示できます。 黒一色の表示だったAW-2に対してTU-10ではカラー液晶、球体関節の利便性がある反面壊れやすかったAW-2に対して TU-10ではクリップ一体型で収納もラクチンということで、まさにAW-2のアンチテーゼとして投入されたといっていいでしょう。
このTU-10にやや遅れて発表されたAW-2の次世代機KORG AW-3は、AW-2の基本を継承しつつグレードアップさせた、TU-10のライバルとして登場しました。 はめ込み式の球体関節は1つにし、ネジどめ式のアームを採用。脱落するリスクを減らし、収納時にも収まりがいいように設計されています。表示は黒バックに白文字で、非常に見やすくなりました。 今後のKORGの看板商品にふさわしい出来だと思います。
このようにクリップチューナー業界ではKORGとBOSSが火花を散らしているという情勢だと筆者は見ていますが、残念ながらあくまでもそれはギター/ベース関係に限定されています。 見る角度が限定されるTU-10は、管弦楽のプレイヤーにアピールすることができないからです。
また、クリップ一体型のチューナーは、とっくの昔にKORGがPC-1を発表していますが、これについてはKORGびいきの偏った意見だと思ってください。