いかに愛情を注ごうとも、ギターのコンディションは刻一刻と変化していきます。
パーツが故障することもあれば調整が狂ってくることもあります。
これはギターに限らず楽器の宿命というものですので、どうしても修理・調整が必要になってきます。
きちんと直したギターは安心して演奏できますし、
調整の行き届いたギターは弾きやすく、上達しやすくなったり演奏の内容がよくなったりします。
修理や調整はショップのリペアマンに依頼することになると思います。 何の問題もなくきちんと仕事をしてくれるのが「安心できる普通のプロ」ですが、中には残念ながらお勧めできないプロもいます。
読者の皆さんの楽器を扱うリペアマンがそうではないことをお祈りしておりますが、
今回は筆者の遭遇した「ダメなリペアマン」の例をご紹介します。
ネック調整はよくある調整のひとつで、ネック内に仕込んだ「トラスロッド」というネジを回します。
ネック調整を依頼して、ロッドを回して状態を確認して、はいできました、とすぐに返してくれるリペアマンがいましたが、こういうヒトには決して任せてはいけません。
ロッドを回したぶんだけすぐにネックの状態に反映されるとは限らないからです。
案の定、順ぞりの調整を依頼した筆者のエレアコは、1週間したら逆ぞりして弾けなくなりました。
さすがにネジをいきなり締めるリペアマンはいないと思ったら、
いました。 外したネジを締めるときにはまず、ネジ穴にネジを当てて逆に回し、 もともとのミゾにネジがはまる「コツっ」という感触を確かめてから締めていかないと、毎回新しくネジのミゾを切ることになってしまい、いつかネジ穴がガバガバになってしまいます。
「ハンダで音が変わる」と豪語するリペアマンも、どうかと思います。
少なくとも筆者には聞き分けられませんし、パーツとパーツが密着しているところを周りから固めるのがハンダなので、 そのハンダ次第でサウンドが変化するというのなら、パーツ同士の密着が甘い作業をしている、ということになるからです。
リペアマンは職人なので、多少ぶっきらぼうなのは勘弁してあげたいのですが、工具を手渡すマナーがなっていないヒトはダメですね。
ドライバーをお借りするときに、自分はハンドル側を持ち、こちらに「プラス」を向けて「はい。」って出してきたリペアマンがいました。
こっちがブチギレてもいい事案です。ハンドル側を相手に向けるのが常識。これは相手への気遣いです。
これができないリペアマンが、「あなたのための調整」をできるとはまったく考えられません。
多くの高級楽器を取り扱う大型量販店のリペアマンでしたから、ココで買った高級機がろくでもないリペアマンにいじられるのかと思うと胸が痛くなります。
近所にリペアを頼めるところが一軒しかなく、そこのリペアマンの仕事に納得できなかったら、勇気を出してクレームをつけましょう。
「お前しかいないんだから、頼むよ」みたいに言えば、決して雰囲気は悪くなりません。
しかし筆者は弱気なので、今回紹介したリペアマンの誰にもクレームはつけないかわりに、二度と利用しません。
どこのお店か気になるかとは思いますが、公表するのは控えさせていただきます。
その代り、仕事が丁寧で腕の良いリペアマンは紹介できます。
なんと、当店「サウンド・プラグ」の隣りでリペアショップを開いておられます。
当店でも簡単な事は対応いたしますが、繊細な作業は、このリペアショップに頼りきっております。
ジャンクなギターでも安心して買い取りができるのも、このリペアショップのお蔭です。