「ピックスクラッチ(=ピックポルタメント)」は、ロックギターにおける花形の大技ですね。
筆者のメモリアル・ピックスクラッチは、王者イングヴェイ・マルムスティーンの「Motherless Child」。
イントロリフのド頭に1小節ぶんのピックスクラッチが鳴ります。
この一発がなかなかコピーできなくて(もちろんその一発から先もですが)、
やっぱインギーはすげぇな、って感動したのは高校時代のいい思い出です。
フェンダーストラトにマーシャルアンプがトレードマークといえば色々なプレイヤーがいるけれど、
やはりインギーだな、と思います。
このピックスクラッチは、低音弦をピックのエッジでこすることで音を出します。
弦は新しく太いほうが、ピックはエッジが立っていたり薄かったりしているほうが、派手な音になります。
ところがかのインギーは0.08~の極細ゲージで、ピックはジムダンロップの極厚1.5mmを使用しています。インギーは反応のいい楽器と高い技術力によって、ピックスクラッチを鳴り響かせているのです。
よくある勘違いに、「でかい音を出したくて、強く押しつける」というのがありますが、全くの逆効果です。ピックであまり強く押し付けても、ピックがどんどん削れていくだけで期待通りの音にはなりません。サウンドのイメージとは裏腹に、軽いタッチでこするのが第一のポイントです。
次に、ピックの持ち方も大いに関係します。ピックのポイント(=先端)付近でやってしまうと、
その後弦の形に削れますからものすごく弾きにくくなるので、まずグリップ側を弦に当てるように持ち替えます。この際、手から出て弦に当たる部分が大きいほど、しっかりとした音が鳴ります。
ピックから見てブリッジ側の弦の振動をPUが拾ってアンプから音が出るのですが、
反対側であるネック側も振動しますし、不要弦も振動します。
左手は弦に当ててしっかりミュートすると、 よりクリアなピックスクラッチが得られます。
ピックスクラッチのド頭は、恐る恐る当ててはいけません。
ブリッジ付近は張りが強くしっかり反発してくれますから、そこをめがけて勢いよく当てましょう。
ド頭に「キュ!」っと言ってくれるかどうかが、ココで決まります。 当然タッチは軽くなければなりませんから、「そこに着地する」というカンジではなく 「そこからスライディングする」というカンジです。
このピックスクラッチ、1小節もやると右手がヘッドに近づきすぎてしまって、
通常の演奏に復帰するのに一瞬以上のタイムラグが生じてしまいます。
この時間差を埋めるために、 「途中からグリッサンドに切り替える」という技を身につけましょう。
実際のピックスクラッチはアタックの「キュ!」だけで、それ以降の「ウーーーン」は左手の移動で出すわけです。
プレイヤーによって「キュウーーーーン」の人も、「キューーウーーーン」の人もいます。
先述した「Motherless Child」は「キューウーーーーン」でした。
以上、ピックスクラッチについてでした。
コレを一生懸命練習している時、親に部屋に入られると結構こっぱずかしいので、注意しましょう。