サンタナの現在のトレードマークといえばポール・リード・スミス(Paul Reed Smith)ですが、
1970年代中頃にはボディに釈迦のインレイを施したヤマハのSGをメインに使用していました。
有名な「哀愁のヨーロッパ」はこのSGで演奏されており、
古くからのファンの中には「サンタナといえばヤマハのSG」と、かたくなに信じている方も多くいらっしゃいます。
https://www.youtube.com/watch?v=SVI7ZDDQXKA
ヤマハでもギブソンでも「SG」は「ソリッド・ギター」の略であり、
即ち普通のエレキギターのことであって、
左右対称なダブルカッタウェイのスタイルを特別に表現したものではありません。
そういうこともあり、ヤマハが60年代に生産していた「SG」はエレキブームを体現した、
現代で言う所の「ビザール」なスタイルの楽器でした。
その頃生産していたSG-7は「ブルージーンズ・カスタム」と云われ、時代を代表する名機でしたが、
エレキブームが落ち着いてきた1969年にヤマハはぱったりとエレキギターの生産を中止。
3年を開発に費やした上で満を持して発表した
シングルカッタウェイのレスポールライクな「SG」でしたが、コレは不発。
翌年発表したダブルカッタウェイの「SG」が現在のSGの原型です。
フュージョンブームのなか高中正義や野呂一生の使用によって知名度を上げたSGには、
安いものから高いものまでラインナップが豊富でした。
高級機になるとセットネック、エボニー指板、バイサウンドシステムと称するコイルタップなど
高級な仕様になっていきます。
現在でも中古で散見しますが、それだけ受け入れられてきた名機だったのです。
現在では残念ながらニッチなギターであるというイメージがなかなか払拭できないところですが、
SGはヤマハにとって重要な意味のあるモデルのようです。
カタログを見るとピックアップの違いで方向性にバリエーションを持たせたSGが紹介されていますが、
厳選された木材を使用した高給機種だけで、廉価版はありません。
「わかる奴だけ買え」って言っているようで、SG に対する強いこだわりを感じさせます。
ヤマハは古参の大手なので優先的に良質な木材を入手できますから、質のいい楽器を安定的に生産でき、
長年のノウハウの蓄積もありしっかり作ってくれるメーカーだという印象があります。
調整もせず雑に扱っても大丈夫なほど頑丈かというと、決してそういう訳ではありませんが、
経験上炎天下で車内に放置しても状態に影響がない位には堅牢な作りです。
ヤマハ製品の強度に対して批判する声もあり、これに根も葉もないとは言いませんが、
どんな楽器でも大切に扱い、調整を怠らないようにすればコンディションを保つのは難しいことではありません。