今回はいわゆる「コンポーネントギター」がテーマです。
通販サイトなどでよく「コンポーネント/ハイエンド」のように併記されることが多い印象ですが、
それにより「コンポーネントとはイイものだ」みたいなイメージを何となくお持ちの方も多い事と思います。
サドウスキー(Sadwsky)やサー(Suhr)、国内ではドラゴンフライ(Dragonfly)やコンバット(Combat)、フジゲン(FUJIGEN)などが有名ですね。
アーティストのバックバンドやスタジオミュージシャンなど、ウマさで勝負するプレイヤーが使用することが多く、ウマいヒト向けの高性能ギターというイメージを持っている方も多い事でしょう。
「そもそも論」は多くの場合ナンセンスですが、
そもそも「コンポーネント(=compornent)」とは「部品」のことです。
部品と言えば「パーツ(=parts)」ですが、「パーツ」はネック一本、トレモロシステム一式からビス一個、スプリング一本、配線一本まで、単体では機能しえないものまでの総称です。
一方「コンポーネント」はその中のネック、トレモロシステム、ピックアップ、可変抵抗器、ペグなど、それぞれ機能がある部品のことを称します。
ギターはいろいろなコンポーネントの集合体なので、本来いちいちコンポーネントギターだなんて言わなくてもいいはずです。しかしながら、調整や組み込みに技術を発揮するリペアマンが社外製のコンポーネントを仕入れ、「自分ブランド」のギターとして販売している楽器。
これを便宜上「コンポーネントギター」と呼ぶようになりました。
サドウスキーはネックやボディなど木工も外注、塗装は別の専門業者に依頼しており、
ピックアップも特注、その意味で「コンポーネントギター」の草分けだと言っていいでしょう。
しかしながらいつからかこの「コンポーネントギター」という名称が、「スタジオミュージシャンが使いそうなスーパーストラト」という意味で使われるようになっています。
ジェームス・テイラーやサー、トムアンダーソンなどは木工まで自社で行ってるので、そもそもの意味では「コンポーネントギター」と呼びにくいでしょう。
とはいえ、似たようなルックスのギターを2本並べて「このギターは社外品を組み合わせて作っており、
このギターは全て自社の部品でできている」だなんて、それこそ意味があるとも思えませんよね。
だから、「コンポーネントギター」といったら「スタジオミュージシャンが使いそうなスーパーストラト」で、「ハイエンド」と言ったら「セットネック形式も含めた高性能ギター全般」という解釈でイイと思います。