Ibanez(アイバニーズ)はジョー・サトリアーニ、スティーヴ・ヴァイ、ポール・ギルバートらHM/HRの
テクニカル系プレイヤーを支え続けてきた ハードロック御用達のブランドイメージがある反面、
パット・メセニー、ジョン・スコフィールド、ジョージ・ベンソンらジャズギターの名手を支えてきたブランドでもあります。
また、7弦や8弦ギターを提唱したり、ブリッジやPUを独自に開発したりといった、大企業ならではの野心的な商品開発が話題になります。
他社より低価格でリリースできるのも大企業ならではで、あこがれのプレイヤーが使っているものと同じものが、比較的手に入りやすいというところもありがたいところです。
Ibanezの楽器にお世話になったという方も、きっと多いことだろうと思います。
ハードロック方面での話をしますと、IbanezのギターはPUのフチやポールピースを目印にしたところに、
開放弦のハーモニクスポイントがちょうど来るように設計されています。
これは不思議なことに、22フレットでも24フレットでも同様で、いかなるPU配列でも同様です。
HSH配列のギターだと目印になるところがたくさんあることになりますが、それでも全部鳴ります。
本来鳴りにくいブリッジ付近のハーモニクスでも、リアPUを目印にすると、
面白いように「キーーーー!!」と鳴り響くので、病み付きになりますよ。
そんな面白いIbanezのギターですが、フロイドローズタイプのブリッジについては賛否が分かれています。
たとえばジョー・サトリアーニモデルでは、製品版ではIbanezのブリッジが採用されていますが、
本人はオリジナルのフロイドローズに乗せ替えて使用していた時期が長らくありました。
厳密に音や精度に問題があるという話は全く聞きませんが、Ibanezのアームは専用のポリキャップの摩擦に頼る設計になっており、使っているとすぐにトルクが弱くなってしまいます。
ちょうどいいところでアームに止まっていて欲しいプレイヤーは、頻繁にこのポリキャップを交換しなければなりません。
サトリアーニ本人は最近ではIbanezのブリッジでステージに立っているようなので、
頻繁にポリキャップを交換しているのだと思います。
Fenderなどのシンクロナイズドトレモロは、アーム本体をくるくる回して装着します。
オリジナルのフロイドローズは、アームについているネジをアームの「受け」に被せて回して固定します。
このちょっとした面倒くささは、アームのトルク調整ができるというメリットのためです。
Ibanezのアームはシンプルに抜き差しするだけでカンタンなのですが、そのぶんトルク調整を犠牲にしています。
もちろん、アームが固定されていなくてもいいプレイヤーにとっては何の問題もなく、
「いちいち回さなくていいからラク」というメリットしかありません。